FM三重「ウィークエンドカフェ」2010年11月06日放送

熊野古道を歩く人たちにおいしいお弁当を届けているのが、紀北町海山区にある始神茶屋 楢の楢井義久さんです。
今日も素敵な手作り弁当を持ってきて下さいました。
熊野薬草弁当は見た目も美しく、そして薬草というだけあっていろいろな食材が使われているのです。
しょうが、みょうが、天台烏薬のお茶、くずなど自生している熊野の薬草を使った体に優しいお弁当です。
くき漬けと生節のおにぎりや押し寿司、おさすりなど郷土料理が満載のお弁当でもあります。
熊野のおいしい空気とともにどうぞ召し上がれ!

■『熊野古道薬草弁当』ができた経緯は・・・?

最初は、県から紀北調理師会に『熊野古道で採れる薬草を使った料理を作れないか』と言われたのがきっかけ。
私を含めて、中華料理店、洋食店、和食店・・・紀北の調理師さんみんなで考えましてね。
最初は難しいかなと思ったけど、よく考えると、昔から食べられてきた料理にも結構薬草が入っていたんですよ。
それで結果的に40くらいの料理が集まって、冊子作ってレシピもあげて終わり・・・のはずだったんですが。
調理師会の会長さんいわく「ここまでできたのにもったいない」と。

そこで、詰められそうな料理をピックアップしてお弁当にしようと。
5回くらい試行錯誤を繰り返してようやく完成して、もう4年くらい経ちます。

■『熊野古道薬草弁当』の中身は・・・?

薬草でありつつも、食べやすく、彩り豊かになるように心がけました。
例えば、この『姜荷(がが)めし』は茗荷の房をピンク色に甘酢漬けしたのが乗っかっていて、生姜と茗荷を混ぜ込んでね、枝豆で飾り付けしてね。
大きな具で綺麗に並べた五目寿司の押し寿司は、二段重ねの間にご飯と具が付かないように、花茗荷の葉っぱを挟んでいます。
飾り付けの葉っぱは南天で、これも薬草なんですよ。
料理は全部で10品ほど。
サルトリイバラ・・・こっちでは『おさすり』って呼ばれる葉っぱで包んだ『おさすり餅』もおすすめですよ。

■楢井さんがお弁当作りをに関わったきっかけは・・・?

私はもともと寿司職人で、鈴鹿で10年、名古屋で2~3年仕事をしていたんです。
で、地元のこっちに戻ってきて、喫茶店というか食堂みたいなものをしていたところ、先程のお弁当作りの話が舞い込んできまして。
それで、お弁当を始めたら忙しくて、お店にお客さんが来てもらうのが難しくなっってしまってね。
そんなわけで、今はお弁当オンリー。

でも、お弁当に専念してから、いろいろスムーズになりました。
お店だと、営業時間中はずっといなきゃならないし、お客さんの人数とか仕入れとか・・・予測ができないでしょ。
お弁当だったら予約制なんで、時間と数が決まっている分、仕入れのロスもないし段取りもできるし。
子供と一緒に夕食が食べられるようになったのが嬉しいですね(笑)

■第二弾もあるとのことですが・・・

ありますあります。
深海魚の沖ギスを使った『熊野古道石畳弁当』。
沖ギスを蒲焼風にして、ご飯と錦糸卵の上に乗っけてね。熊野古層の石畳をイメージしています。
付け合せのガス海老の塩焼もそうだけど、食材は全部地元の食材を使っています。

これを完成するまでも結構試行錯誤しましてね、いろいろな人に試食してもらいました。
不思議なことに、同じ業種の人よりも、全然違う異業種の人に食べてもらったほうが的確なアドバイスがもらえたり。
例えば服飾デザイナーさんとか・・・意外と奇抜なアイデアが出るんですよ。

他にもマンボウの燻製など、地元で獲れる食材を使った商品を作っているんで、ホームページも見て下さい!